【イベントレポート】6/29 Mario Herger氏によるゲーミフィケーションワークショップ

先月開催されたゲーミフィケーションカンファレンスの特別イベント、
SAP LabsのMario Herger氏によるゲーミフィケーションワークショップに参加してきました。

今回は、このゲーミフィケーションワークショップの当日の様子について
レポートしてみたいと思います!

ワークショップの概要は、こちらのカンファレンス特設ページよりご確認ください。

 

Angry Bird好きの講師:Mario Herger氏

Mario Herger(マリオ・ハーガー) SAP Labs

 

プレゼン資料の表紙にもAngry Birdのイラストを載せるほどのAngry BirdファンであるMario氏。

前日のカンファレンスでもセッションの終わりにAngry Birdのぬいぐるみを投げていましたが、
今日のワークショップでも、発言して議論に貢献した人には
ぬいぐるみをプレゼントしてくれるそうです。

Mario氏はSAP Labsで企業のゲーミフィケーションソリューション導入をサポートしており、
ゲーミフィケーション関連の講演・ワークショップも多数開催されています。

Mario氏プロフィールはこちら

 

Introduction:ゲーミフィケーションの力

当日は3~4人のグループでのワークを交えて進行していきました。

自分にゲームのようなタイトルをつける、というユニークな自己紹介をグループで行った後
(ちなみにMario氏はSuper Marioというそのまんまなタイトルをつけていました)、
Mario氏は「ゲーミフィケーションの持つ力」について語り始めました。

その中で紹介されたのがこちらのContrexの事例です。

こちらの映像にあるように、「聴衆が発電というある種の労働を自ら進んで行う」という
状況を作り出す力がゲーミフィケーションにはあるのだ、ということを示してくれました。

 

問題を定義する

次に実際に手を動かしてゲーミフィケーションについて考えるワークを行いました。

ゲーミフィケーションを考えるにあたって重要なのは課題の定義だということで、
まずは「テーマを決めて現状の行動を洗い出し、解決したい問題を決定する」という
ワークを行いました。

問題が決定すると、Mario氏がゲーミフィケーションについて解説・多くの事例を紹介し、
その後にもう一つのワークを行いました。

次のワークはアイディア出しの段階で、先ほど決定したテーマと、
現在あるゲームを無理やり組み合わせてみよう、というのが題材でした。
既存のゲームと組み合わせる、と考えることで、
ゲーム化するアイディアが出やすくなるように思いました。
今回は時間の都合上、細かいところまでは考えず、アイディアを出して次のテーマに移りました。

 

プレイヤーを理解する

次にMario氏が提示したのはプレイヤーを理解するということでした。

モチベーションにはさまざまな要素があり、プレイヤーそれぞれに
異なるモチベーションがあること、スキルレベルやプレイヤータイプごとの違い、
そして世代や男女による違いについて詳しく説明がなされました。
そのほかにも社会的な役割や文化がもたらす差異、さらに内発的動機付けと
外発的動機付けについても説明がありました。

これらの違いがあるために、ユーザーに対する動機付けを考える場合には
まずユーザーを深く知らなければならない
とMario氏は言います。

そのため、次のワークではユーザー像の具体化を行いました。

想定されるユーザー像についてイメージしていくのですが、
ポイントは家族・人間関係、仕事といったものから、消費行動、余暇行動、ゲームのスキルなど、
可能な限り具体的に特定の人物についてイメージすることだそうです。


ワークショップの様子を撮影するMario氏

ゲームメカニクスとレベルデザイン

続いて、ゲーミフィケーションに用いられるゲーム要素についての話に移りました。

ランキング(リーダーボード)一つとっても、一般的なトッププレイヤーだけが
掲載されているランキングだけでなく、だれもが楽しめるように、
友人間だけのランキングにしたり、自分の周囲の人間だけが見えるようにしたりという
改善が行われているのだそうです。

また、フロー理論によれば、自分のスキルと課題の難易度が適切なバランスにあるときに
人はもっともモチベーションが高まるため、プレイヤーのスキルが上がっていくと、
それに従ってこなすべき課題、取るべき行動が変わっていく
、ともおっしゃっていました。
プレイヤーのスキルレベルの段階に合わせたゲーミフィケーション設計が必要とのこと。

そのため、今回のワークショップ最後のワークでは、この
プレイヤーのスキルレベルごとの行動を考える」ということを行いました。
先ほどのプレイヤー像のイメージを元に、初心者、中級者、上級者3つの段階を考え、
それぞれの段階にいるプレイヤーがどのような行動をとるのかを考えました。

 

ゲームバランスと企業への適応

最後のワークが終わった後、Mario氏は様々なトピックを紹介されたのですが、
その中で特に興味深かった点をご紹介します。

1点目はゲームバランスに関する問題で、特にチーティング(ゲーム中の不正行為)について、
どうやって不正を防ぐか、ということが説明されました。
リワードの表面的な価値を減らす方法や、不正行為をする難易度を上げる方法に加えて、
”Shamification”という、「不正が公になるように設計することで、恥の感情を抑止力にする
方法が紹介されました。不正行為があるとゲームバランスが大きく崩れてしまうため、
対策は手を抜かずに行う必要があるとのことです。

 

2点目は「いかにしてゲーミフィケーションを企業に浸透させるか」ということで、
5つの方法が紹介されました。

・ゲーミフィケーションについて積極的に伝える
・数字を見せて説得する
・(ゲーミフィケーションのシステムで)遊んでも良いのだと伝える
いつでもやめていいと伝える
・自分自身もゲーミフィケーションが導入された仕事環境に慣れ親しむ

特に「遊んでもいい」「いつやめてもいい」と伝えることが、
ゲーミフィケーションに対して壁を持っている人に対しては重要なのだと感じました。

 

最後にMario氏はゲーミフィケーションの「ダークサイド」について説明していました。
例えば、ゲーミフィケーションを用いて行動をコントロールしたり、
あるいはゲームバランスを崩すことによって重要なものを重要でないように
見せたりすることもできるなど、ゲーミフィケーションには負の面もあり、
そこに陥らないように気を付ける必要があると指摘していました。

 

そのほか扱われた話題としては

・エンゲージメントループ
・法律問題
・ゲーミフィケーション導入の予算
・ゲーミフィケーションプラットフォーム
・ゲーミフィケーションとビッグデータ

など、数多くのトピックが取り上げられました。

まとめ

ゲーミフィケーションというとゲーム要素をどう利用するか、
というところにフォーカスが当たりがちな気がしていたのですが、
ワークショップでは問題の定義や利用者の理解に大きな時間を割いており、
やはりゲーム要素を考える以前の段階が非常に重要なんだということを感じることができました。

また、企業へのゲーミフィケーションシステムの導入ということに関しては、
具体的にどうすればいいかといった話や、予算・法律の話などの踏み込んだ議論
なされていました。海外ではこのような具体的なレベルで
ゲーミフィケーションが検討されているのだということに驚かされました。

 

Mario氏の紹介してくれた例はどれもわかりやすく、
大変満足度の高いワークショップだったと思います。

今回のワークショップに興味を持った方は、Mario氏の運営するゲーミフィケーション情報サイト
Enterprise-Gamification.com」(英語サイト)にも是非アクセスしてみてください。
ワークショップで紹介された事例や数字の中にはこちらのサイトで掲載されているものも
あるとのことです!