ゲーミフィケーションフレームワークについて(2)

前回「ゲーミフィケーションフレームワークについて(1)」の続きです。

 

前回は、

1)目的と利用者

2)可視化要素

3)目標要素

について説明をしました。今回はその続きからです。

4)ソーシャルアクション

4-1)ソーシャルアクションを洗い出す

「ソーシャルアクション」という言葉自体が馴染みのない言葉ですよね。日本語で検索すると社会的に良い行動という意味で使われているケースの方がよく出てきますが、ここで使っているのはそういう意味ではありません。ソーシャルグラフを直接的・間接的に使って利用者同士のインタラクションが発生し得るような機能のことをここではソーシャルアクションと呼んでいます。

ここで押さえておきたいのは、「いいね」ボタンの設置がソーシャルアクションではないということです。ソーシャルアクションは非常に幅広く存在しています。例えば「ランキング」もソーシャルアクションの1つとして考えることができます。これは典型的な、間接的ソーシャルインタラクションです。ランキングに載ることやランキングが表示されていること自体がなにか直接的な利用者同士のインタラクションを生み出すわけではありません。ただ、利用者の心理には色々な影響を与えます。

「ランキングに載りたい」

「上位のアイツを追い越したい」

「頑張ってる利用者はこんなにやりこんでるのか!」

などなど。こうしたこともソーシャルアクションの効果の1つです。どんなソーシャルアクションが考えられるのかということについてはむしろ既存のソーシャルゲームを見たほうが具体的な例がたくさん見つかることでしょう。

あとは、現実の世界で行われていることをソーシャルグラフを使ってWeb上で表現しようとするとどうなるか、ということを考えてもソーシャルアクションのアイデアが出やすいかと思います。特に間接的なソーシャルアクションはちょっとわかりにくくはあるのですが、使いやすいものが多くあります。例えば学校のテスト中、隣の席のA君は順調に答案を書き進めているというのは横を見ればわかります。「あ、こいつしっかり勉強してきたな」とわかります。ちょっとあせるかもしれませんし、負けずに頑張るぞと思うかもしれません。こうしたことをWebで表現しようとするとどうなるでしょうか?

ソーシャルアクションとはこうしたものなのですが、実際にサービスにこちらを導入する際にはまずどんなソーシャルアクションがあるのかということのイメージをつかむため、ソーシャルゲームや現実世界などを参考に色々と洗い出してみることから始めます。実際問題として、ここはアイデアを広げればいくらでも考えられる部分ですので調子に乗ってくると結構楽しい感じです。

4-2)順序を検討する

ある程度洗い出しを終えると、今度は実施の順序を考えます。通常のWebサイトの場合、そもそもソーシャルアクションはほとんど導入されていないというケースが多いでしょう。あるとして先ほどの「いいね」ボタンを設置しているというくらいではないでしょうか。

これは即ち、そのサイトの利用者はそのサイトのなかでソーシャルなインタラクションを取ることにまだ慣れていないということを意味します。こういう利用者に対し、いきなり直接的なソーシャルインタラクションを用意してもなかなか使ってもらうことができないでしょう。もう少し気軽に使えるソーシャルアクションを用意して、利用のハードルを下げてあげることが必要になります。また、間接的なものを中心に用意するということも最初は有効です。相手にいいことが必ず起きるようなソーシャルアクションも有効です(いいねボタンなどはこの典型です)。

慣れてきた利用者同士の間では、より濃いインタラクションができるソーシャルアクションが用意されている方が盛り上がりやすくなります。「コミュニティ」はその典型です(一般にコミュニティをいきなり用意してもなかなか盛り上がらないのはこの順序が考慮されておらず、不慣れな利用者が中心なのに濃いインタラクションをいきなり求めているということが多いように思います)。ただここに至るまでの道のりは短くはないので、そこは十分に考慮する必要があります。

現実的には、ソーシャルアクションは開発コストがかさみやすいところですので何をどこまでやるかは予算との相談となるケースが多いかと思います。

5)プレイサイクル

プレイサイクル、というのも聞きなれない言葉かと思います。これも、厳密にこういう言葉として存在しているのかやや微妙ではあるのですが、ここでは利用者が遊びながら徐々に初級者から上級者へと登っていくプロセス全体を指してプレイサイクルと読んでいます。「サイクル」という言葉を使っているのは、基本的に利用者の辿るステップが

1)目標を定める

2)目標を達成するために行動する

3)目標を達成する、1)に戻る

というサイクルになっているためです。1)に戻った際に設定される目標は、以前に定めた目標より少し難易度が上がることが通常です。

プレイサイクルのフェーズで重要なことは、利用者それぞれの状況に応じて適切な難易度の目標を提示するようにうまくバランスを考えることにあります。・・・といっても、実際に利用者が使ってみないと最終的なバランス調整は困難なので、まず考えるべきことは初心者向けの施策です。これを「オンボーディング」という言葉を使って呼びます。

オンボーディングでは、特にこのサイトが利用者にとってどんな価値があるのかを簡潔に伝えることが大切です。ここでも必要になるのは利用者理解です。どんな経路で何を求めてアクセスしてきたのか、ということを元に伝えるべきメッセージの内容を決めます。またこのサイトをどんな風に使えばいいのか、まずどこから始めればいいのかといったこともここで伝えます。ソーシャルゲームでは「チュートリアル」と呼ばれるフェーズがこれに相当しますが、同様のアウトプットになるケースもあります。

また、上級者向けの使い方を考えることもプレイサイクルを検討する上で重要なことになります。ただ最初から上級者向けを用意しない場合もありますので、スタート時点ではなくても構わないでしょう。準備をしておくというのが実際的かと思います。

 

6)適用後の改善・運用

最後に考えるのが運用フェーズについてです。これまでの5つの検討を経ることで、概ね初期段階で必要なゲーミフィケーションデザインについて考えることができました。ただ、実際に手を動かされるとわかるのですが、かなり色々な仮説に基づいています。仮説というと聞こえはいいですが、見えない中で想像しながらデザインしていくような印象に近いかもしれません。ですので実際にその仮説が正しいかどうかははじめてみないとわからないのです。

ですので、むしろここからが本番。これまでのステップで考えたことが正しいかどうかを実践を経て検証することであるべきゲーミフィケーションデザインに近づけていきます。

その際に、準備しておかないといけないことがあります。それは「なんの指標(KPI)を見るか?」ということです。ゲーミフィケーションが正しく機能しているかどうかを識別する指標を事前に定めておきましょう。導入するWebサイトにおいて、利用者が盛り上がっているといえるためにはどんなKPIが向上していればいいでしょうか?

KPIを考えると共に、システム的にはそのKPIがちゃんとデータとして蓄積され、見れるようになっていることが必要です。意識して準備しておかないとそもそもデータがとれていないということはよくありますので注意しておきましょう。

 

 

さて、ゲーミフィケーションフレームワークの説明は以上です。ブログでは説明しきれない部分もありますが大筋の考え方はこの2回でご説明してきたとおりです。実際に我々がご依頼を受けて進める場合、丁寧に進行する際にはこのステップで考えています。また、この考え方自体は様々な場面で応用することができます。6つのステップ全てを必ずしも考えなくても、部分的に取り入れるだけでも効果が出せる場合もあります。是非、応用を様々に考えてみてください。