バッジ、ミッション、リレーション

gamificationを構成する典型的な要素を取り出すと、表題のようになってくる。

●バッジ=報酬

フォースクエアで有名になったバッジという概念だが、一定の行動を達成した場合に受け取ることが出来る報酬、というように位置付けられる。日本のソーシャルゲームでは称号という呼ばれ方になっていることも多い。バッジは仮想的な報酬だが、実際的な報酬になることもある。一定条件をクリアするとクーポンがもらえたり、ポイントがもらえるような手法だ。ゲームの世界を覗いてみると、意外にこうした仮想的な報酬、つまりそれをもらっても特に実質的に嬉しいことは何もないような報酬であっても、それがモチベーションとして働くことはさまざまに実証されている。取得が困難な称号を得るために何度もゲームをプレイすることは非常によくある光景だ。現実の世界でもこうした仮想的な報酬が活用されていることは実はそれほど珍しいことではない。例えば名刺における肩書きも場合によってはそのように使われていることがあるし、「金一封」の社長賞も見ようによっては(おいおい)仮想的な報酬と言える。こういう報酬が嬉しくないかというと案外そうでもなく、それを目指して頑張ったりすることは現実の世界でもある。Web上であれば、なおのこと活用の仕方があるだろう。

●ミッション=クリアすべき課題

「ミッション」という言葉はソーシャルゲームの世界でよく登場する。ソーシャルゲームの世界だと、行動力の限り「実行」をクリックして100%にしていくのがミッションだが、gamificationの場合はもちろんそれだけを指しているわけではない。ゲームにおいて、何かを達成する・得るためには課題をクリアすることになり、そのような課題は大小様々な形で存在している。RPGゲームを例にとると、一定経験値を貯めてレベルを上げるというのもミッションと言えるし、頼まれごとを解決してあげるのもミッションだ。大きく言えばボスを倒してゲーム自体をクリアするということもミッションになる。このような、一定の活動を通じてクリアできる課題がミッションとなる。なぜミッションをこなそうとするかというと、それは報酬と密接にかかわっている。なにがしかの報酬、アイテムやお金といった、がもらえるのでミッションをこなすことになる。ここではミッションと報酬のバランスの設計がとても重要になる。達成が困難すぎるミッションが最初に来ればユーザはやる気がなくなるし、簡単すぎるミッションばかり続い2ても面白味がない。得た報酬がミッションクリアに要した労力に比べて小さすぎるとモチベーションが下がるし、大きすぎても萎えてしまう。実世界でも同様で、「ポイント10個たまれば500円引き!」と言われても「いや~10回も来店しないよ」となればそのポイントカードは意味をなさない。

これはgamificationの領域でも同様である。Webの世界が面白いのは、仮想的な報酬も含め、さまざまな形の報酬を用意することが可能な点だ。小さなミッションに対しても小さいなりの報酬を与えることが出来るし、大きなミッションに対しては実利のある報酬を与えることもできる。アイデア次第で、繰り返して訪問させるきっかけとしたり熱中させる要素を盛り込んだりすることが出来る。

●リレーション=ユーザ同士の関係性

ゲームは、一人で遊ぶより何人かで遊ぶ方が断然面白い。マリオブラザーズでの二人プレイ、殺し合いにどれだけ燃えたことか。ソーシャル化が進むWebの世界では、オンライン上のユーザと様々なリレーションを作ることが出来る。競争する、協力する、自慢する、助ける、などなど。バッジやミッションというのは一人プレイでもある要素だが、ユーザの間で獲得したバッジを自慢したり、ミッションを協働でクリアしたり、そうしたリレーションの要素を持ち込むことでより強力な効果が期待できる。

リレーションの概念は、実世界だと例えば目に見えるようなステータス感の演出というようなものになる。マイレージプログラムで言うと、ランクの高い乗客は優先搭乗の権利があって、皆の目の前で「優先的に」搭乗することが出来る。私自身はいつも「いいなあ」と思う側だが、しっかりとステータス感を見せつけられ、羨ましいと思ってしまっているあたりはマイレージプログラム作成者の思うつぼであろう。

こうした3つの特徴がわかりやすく備わっているのはfoursquareであろう。単なるチェックイン型のサービスではあそこまで盛り上がらなかったに違いない。ただ、gamificationの面白い所は、単にこうした要素を入れればいいということではなく、うまく全体のバランスを考えてデザインする必要があるという点だろう。これは正解があるわけではないので、個別のサービスの性質を踏まえて考えなければいけない。