京都大学サマーデザインスクール終了

京都大学の大学院情報学研究科が中心となって主催する3日間集中型のサマーデザインスクールでの講座を終えました。テーマは「起業家を創る」。このテーマをゲーミフィケーションの手法を使ってWebのサービスとしてデザインするというのが今回のゴールでした。

非常に抽象度の高いテーマで、果たしてどんなアウトプットになるかと思っていたのですが、優秀なチームメンバーのおかげでスムーズに議論を進めることが出来ました。さすがにWebサービスとして稼働する段階にまでは至りませんでしたが、基本的なコンセプトとサービス内容についてまとめることが出来ました。

これまで、ゲーミフィケーション・フレームワークの適用は既存のWebサービスに対して実施するということで考えてきたことがほとんどでした。今回は新しいWebサービスをゼロから設計する際にゲーミフィケーション・フレームワークをベースに考えるという新しい試みです。結論としては、ゲーミフィケーション・フレームワークはこのような応用でも有効に使えそうだということがわかりました。

まず、起業家像を明確にするためにカヤック柳澤さん・はてな近藤さんに来て頂き「起業家とは何か」ということについて様々にヒアリングをさせてもらいました(ありがとうございました!)。その結果色々なことがわかったのですが、・まず行動してみることが重要・(自分のためではなく)世の中のためになることをするという意識が重要・起業する上で必要な能力・知識は特にない(起業後に身につければよい)特に特徴的なことを挙げるとこのようなことがわかりました。

この結果を元に起業家を創るためのWebサービスをゲーミフィケーション・フレームワークを使ってデザインしていきました。・行動を起こす力・世の中のためになるという意識を共に高めていくことが本Webサービスの目的となります。

「行動」とは自分で何かアイデアを考えて企画し、人に企画に参加してもらい、参加者からフィードバックをもらうというプロセスとしてデザインしました。実際に行動するという体験を利用者が積んでいくこと、まずは小さなことから始め、徐々に参加者の数を増やしていくプロセスをゲーミフィケーションデザインすることになります。

ここでは参加者の人数と参加時間から、参加人×時間を割り出すことで数値化します。また同時に、世の中にためになるという点については企画の内容にどのようなテーマを設定するのかということや、企画自体を他者から評価を受けること、実際の実施後の参加者からのフィードバック・評価を受けることということを数値化することとしました。

続いてソーシャルアクションをデザインします。特に周囲からの応援が大事だということは起業家インタビューからわかったことでしたのでフェイスブック・ツイッターなどと連携し本Webサービス内でのアクティビティが適宜外部ソーシャルメディアにフィードされるようにしました。

プレイサイクルデザインでは特にチュートリアルに注目、本サービスの初級者向けには“Change the world, start from beer”

  1. このサービスはイベントをオーガナイズするためのものである
  2. このサービスを使うことでアントレプレナーシップが身に着いていく
  3. 同じような思いを持つ利用者とのネットワークを築くことが出来る

と説明することとしました。このメッセージには、まず目の前の出来ることから行動を始めよう、という意味を込めて「start from beer」飲み会を企画・開催することから始めようと呼びかけています。このサービスを使い続けることで、単なる飲み会からテーマ性・社会性のあるプランを実施することにレベルアップしていくことが出来るというのが基本的なサービス設計です。

ゲームメカニクスとしては・企画とその実施を継続していくことで、開催できる企画の規模や種類が増えていくアンロック要素・企画の実施回数・規模・フィードバックの結果などに基づく称号の付与やアントレプレナーレベルの設定・上級者向けにはスポンサーからの資金提供や実際の起業家と会える機会の提供といった報酬要素の設定・ランキングやステータス画面としてのマイページデザインなどを盛り込んでいます。

議論に費やした時間は実質的に1日程度だったので、議論しきれなかったこともたくさんあったのですが、サービスの骨子は概ね固められたかと思います。今回はWebデザインやプログラミングといった形での実装は進めることが出来ませんでしたが、もう少しサービスの中身を詰めれば実際の形にすることが出来るだろうという感触が持てました。

今回の取り組みで改めて以下のような知見が得られました。・目的を明確化するためにはインタビューは非常に有効である・抽象度の高い課題であっても、目的が明確になればゲーミフィケーションフレームワークを適用することでWebサービスとしてデザインを進めていくことが出来る・ゲーミフィケーションフレームワークはWebサービスのデザイン手法としても機能させることが出来る

チャレンジングな取り組みだったと思いますが、参加頂いたチームメンバーの皆さんとの議論は刺激的でしたし、そのおかげで一定のアウトプットに至ることが出来ました。皆さんどうもありがとうございました。今回の取り組みは3日間で、サービスを形にすることが出来なかったのは残念ですが、またの機会で最後までやり切りたいですね。